日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: A29
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林政部門
沖縄県における住宅構造材の歴史的変遷に関する一考察
*知念 良之芝 正己
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抄録
【背景・目的】戦後、沖縄の一般住宅構造の主流は鉄筋コンクリート造(RC)で, 木造率は僅かであった。2000年代後半から木造一戸建て住宅の割合は増加し,2013年には13%に達した。本研究の目的は,住宅構造材の変遷を検証し,今後の木造住宅の動向を考察することである。
【方法】沖縄県の林政分野や住宅に関する各種統計資料・文献を収集し,時代毎に住宅や森林・林業に関する情報を整理した。これを基に住宅構造材の変遷について分析を行った。
【結果】琉球王国時代は木材自給を目指し,森林管理と利用の両面で厳しい法整備が行われた。琉球処分後の混乱は乱伐と森林の荒廃を招き,建築用材のほとんどを県外産に依存した。沖縄戦において,戦時下の木材需要の逼迫に加えて住宅の殆どが戦火により失われた。戦後,米国管理下での独自の経済体制がとられ,民間貿易の再開と共にスギ材が輸入され,木造建築が盛んになった。通貨がドルに切り替ると,輸入代替や輸出振興のためにセメントや合板工場への支援が行われ,これはRC造振興に貢献し,木造住宅関連産業は解体状態に陥った。近年の木造率増加はプレカット材や木材利用振興政策が背景にあると考えられる。
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© 2015 日本森林学会
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