日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B023
会議情報

生態部門
山岳上部におけるミズナラの葉形態と生態の変異
*増井 悠人石田 清
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

東北地方では、山地帯にミズナラが生育し、日本海側の山地帯上部(偽高山帯)にはミヤマナラが生育する。両変種については、分布の不連続性や葉身長、葉裏毛密度の変異との関係が報告されているが、知見は蓄積されておらず、ミヤマナラの生態やミズナラとの系統関係は未解明な点が多い。本研究では、形態比較に基づいてミズナラとミヤマナラの分化をもたらした生態的・進化的背景を推定した。青森県八甲田連峰と新潟県巻機山のミズナラ集団とミヤマナラ集団を対象に葉の形態比較と樹高の分析を行った。環境ストレスを表す指標である最大樹高を用いて集団の生育地をタイプ分けすると、調査集団は1)最大樹高が高い集団、2)最大樹高が地形によって連続的に大きく変化する集団、3)最大樹高が低い集団という3つのエコタイプに分かれた。垂直分布によって各エコタイプを分類すると、タイプ1がミズナラでタイプ2,3がミヤマナラとなった。しかしながら、タイプ2には葉裏毛密度がタイプ1と類似している集団が見られ、エコタイプと変種は対応していなかった。このことから、垂直分布によって定義されるミヤマナラの中には形態の分化が進んでいない集団があるものと推定される。

著者関連情報
© 2015 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top