林木の種苗移動の規制は、他所では不適応になる樹木の植栽を防ぐ。林業種苗法により、日本のアカマツは、南から北への移動が禁じられている。現行の規制を評価するため、南北の産地のアカマツ種苗を、それらの産地の近くの試験地に植栽した相互移植試験を行った。間伐前の15年生まで、および間伐後の15から30年生までと15から40年生までの生存率を測定し、30年生幹の直径、植栽面積あたり断面積、形状を計測した。間伐前の生存率は北より南の産地で低く、北より南の試験地で低かった。間伐後の生存率は、他所の試験地、特に北の試験地の南の産地が低かった。直径は、南の試験地の南の産地がもっとも大きく、北の試験地の両産地がもっとも小さく、南の試験地の北の産地が中間だった。よって、地元では、北より南の産地で数が少なくサイズが大きかった。これらの生存と成長の結果を総合すると、南の産地の種苗を北の試験地に植えると植栽面積あたり断面積が低下し、不利な北方種苗移動が示唆された。折れたり曲がったりした幹の割合は、南より北の試験地で高く、北の試験地の環境の厳しさが示唆された。これらの知見は、現行のアカマツの種苗移動規制を支持する。