日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T13-03
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T13. 樹木根の成長と機能
フラットベッドスキャナー法による細根動態の経年的評価
*仲畑 了中村 瞳檀浦 正子大澤 晃
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抄録

森林生態系の物質循環推定において重要な細根の動態を非破壊的に評価する方法として、従来ミニライゾトロン法が使われてきた。一方、調査の低コスト化、高頻度化などを目的としたフラットベッド・スキャナー法が開発されたが、この方法で生態系スケールでの細根動態を経時的に評価した例は少なく、量的に経時変動が大きい細根に対してどの程度詳細な長期観測に適用できるのか検討する必要がある。本研究の目的はフラットベッド・スキャナー法を用いて林分の細根動態を長期的に評価することにある。滋賀県大津市のヒノキ人工林を対象に2009年6月から2014年12月まで、4-8台のスキャナーを用い1-2週間間隔で土壌断面を撮影した。取得した画像を手動解析し、細根面積、生産・消失面積を求めた。幾度かスキャナーが故障したがその都度新設することにより長期観測が可能であった。スキャナーが林床に馴染まない初期では、細根面積がおおよそ1年間増加し続ける傾向が見られたため、生態学的な考察から除外した。根の生産は年ごとに大きくばらつくもののおおよそ春から秋の間に確認できた。この手法では高頻度で詳細かつ長期的なデータを得られたため、今後さらなる解析が期待できる。

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© 2015 日本森林学会
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