日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T15-04
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T15. マツ材線虫病研究の最前線 -オミクス的展開による挑戦-
マツノザイセンチュウの表現型評価と次世代抵抗性育種のスキーム
*松永 孝治
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抄録

マツノザイセンチュウ抵抗性育種事業は材線虫に対する長期的な対策の一つとして,1970年代に始まった。すでに開発されている第1世代抵抗性品種は,全国で採種園母樹として利用され,そこから得られた抵抗性種苗が植栽されている。事業開始が早かった九州・関西地域では第1世代品種を母材料とした次世代品種の開発が進められているが,近年の材線虫病被害地の高緯度高標高地化や初期に植栽された抵抗性マツ林の枯損の報告を受け,抵抗性と環境の交互作用や線虫の病原力と抵抗性の交互作用といった新たな視点に基づく品種開発のスキームが必要である。ここでは現在行っている次世代品種開発の取り組みと全国からのマツノザイセンチュウの収集とその表現型評価について紹介する。
また,これまで抵抗性マツは材線虫病の防除体系の中では将来のオプションの1つとして紹介されることが多かったが,すでに抵抗性マツが植栽されている現状から,抵抗性種苗を用いた防除体系の整理が必要であろう。ここでは,これまでに明らかとなった抵抗性マツの特性と抵抗性マツ植栽地における材線虫病被害の調査事例等を紹介して,抵抗性マツを用いた防除体系構築にむけた情報を提供したい。

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