日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T16-01
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T16. 最新の森林系統地理学と将来展望
系統地理学における過去の集団動態の推定方法
*玉木 一郎
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抄録

系統地理学では生物(集団)の系統関係と地理的分布から生物進化について考察を行う。集団がこれまでに経験してきた集団動態(集団サイズの拡大・縮小や集団の分岐・混合)は考察を導く上で重要な役割を演じる。

遺伝子型データには過去の集団動態の痕跡が残っているので,遡上合同理論に基づいて集団動態を推定することが可能である。しかし,同じ集団動態の下でも,生じる遺伝子の系図の形にはばらつきが大きいため,単一の遺伝子座からの推定には大きな誤差を伴う。また,集団が分化した後に交雑が生じたり,遺伝子の分岐と集団の分岐の時間が異なる場合は,遺伝子の系図は集団のたどってきた系図と必ずしも一致しない。従って,多数の遺伝子座を用いて複数の集団動態モデルを検討し,結論を導く必要がある。

データから集団動態モデルのパラメータを推定する方法には,尤度を直接計算する方法としない方法の大きく二つがある。基本的に前者は計算コストが高く,後者は低い。また近年,複合尤度による計算コストの小さい方法も提案されている。本発表ではこれらの手法を紹介し,ゲノムワイドデータへの適用や推定に必要なサンプル数などについて議論を行う。

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