日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: E11
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遺伝・育種部門
スギにおける幼老相関関係に基づいた苗畑段階における成長形質の選抜の可能性
*倉本 哲嗣松永 孝治武津 英太郎千吉良 治倉原 雄二湯浅 真山田 浩雄
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抄録

 林木育種において,新たな系統の開発には交配から成長や材質等の特性の調査結果を含めると20年以上を要する。一方九州は,スギさし木苗による造林が主流であることから,さし木苗での調査結果を待って特性を見極める必要があるので,さらに多くの年月を要する。そのため,市場が求めている特性を有した品種の開発をより効率的に進める方法を開発していくことが必要であると考え,これまでに蓄積されている第一世代にあたるスギ精英樹のデータから若齢段階で標準伐期齢頃の特性が見極められないか検討した。解析に使用したのはスギ精英樹28クローンである。まずこれら精英樹クローンについて1反復あたり10本,3反復の合計30本を九州育種場内に植栽後,1成長期でどの程度成長したかを示す比(伸長率とする:(1成長期後の樹高)/(植栽時の樹高))を算出した。次に検定林調査データからこれらクローンの九州一円における樹高および胸高直径の平均値を算出し,伸長率との間に相関が認められるか解析した。その結果,30年次の樹高・胸高直径と伸長率との間にはそれぞれ1%水準で統計的に有意な相関関係が認められた(相関係数はそれぞれ0.72と0.63)。

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© 2015 日本森林学会
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