山形県金山町立明安小学校の学校林において,選択的刈り払いによる森林整備後に小学3・4年生を対象に森林学習プログラムを行い,森林整備の効果を検証した。整備前は,18年生のスギ林冠下に多様な広葉樹が多数定着していたが,藪化していたため,林内観察が困難な状況であった。今回の森林整備によって,スギ樹冠下に約50種の広葉樹を残すことができ,遊歩道から林内へのアクセスも容易になった。また,森林整備によって,面積0.66haの学校林内に,高木種だけでなく小高木種・低木種も約450本残したことで,多様な森林学習プログラムを実施することができた。さらに,文章を品詞別に分解し集計するテキストマイニングによって,児童らの森林学習に対する自由記載の感想文を解析した結果,楽しいなどの形容詞が頻出していたことから,児童らの興味関心をひく森林学習が実施できたと推察される。以上のことから,上層がスギ林でも,下層の広葉樹を適切に整備することによって,針葉樹だけでなく広葉樹も活用した多様な森林学習プログラムを実施することが可能になると示唆された。