本研究は,誰もが利用できる地域の教育施設の公民館に着目し,公民館で実施されている森林環境教育にはどのようなものがあるか調べ,公民館での現在の森林環境教育の位置づけを分析することを目的とした。
研究対象としたのは,多くの人が在住している神奈川県の政令指定都市および藤沢市の計140の公民館である。公民館のイベント調査には,公民館のホームページ,公民館報,広報誌を使用した。調査期間は,2013年1月から2013年12月までの1年間とした。
その結果,公民館で開催されているイベント総数5719件のうち,森林環境教育に関連する内容は72件であった(1.2%)。横浜市では調査した3867件のイベントのうち43件(1.1%),川崎市では381件中3件(0.8%),相模原市では932件中21件(2.3%),藤沢市では539件中5件(0.9%)であった。よって,現在のところ公民館における森林環境教育に対する位置づけは大きくないと考えられる。しかし,少ないとはいえ森林環境教育が行われていることも明らかになっており,普及のための公民館の活用や各公民館とボランティア団体などのとの連携による効果的な教育についても検討する必要があろう。