【目的】日本の中山間地域では、住民の社会生活の維持や地域資源の管理が危機に瀕している。博物館を拠点とする、地域資源を活かした地域学習活動の効果を明らかにすることを目的とした。【方法】2012-2014年度に朝日町郷土資料室と地域活動を連携実施し、1) 学習に参加した中学生へのアンケート、感想文の分析、2) 博物館ボランティアの意識変化を把握するアンケート、3) 1)~2)での課題への対応と活動効果を把握する参与観察を実施した。【結果】1)では中学生の地域への関心、地域資源を楽しむ能力は高く定着したが、自然への関心、参加意欲などは低下した。2)ではボランティアの地域づくりへの参画意識が高く保持された。3)では教育活動の継続や内容深化といった課題に対応して、ボランティアと中学生との対話型講座が実施され、中学生の知識獲得などに効果が得られた。地域資源マップの活用では、掲載地の散策会や公民館講座が実践されるなど、ボランティアの自発性や実行力が向上した。資料室の活動は活発化し、高齢者が集う地域ナレッジ集積の拠点として役割が発揮されたが、今後は高齢化に対応した活動プログラムの開発が課題である。