近年、予算や人員の削減により、森林教育のための施設は厳しい状況にある。こうした状況下で、生涯学習の手段かつマンパワーとして、ボランティアが注目されている。しかしながら、こうした施設におけるボランティアの実態は十分に把握されていない。各地域の自然に関する情報を蓄積し、森林教育に大きな役割を果たすことが期待される自然史系博物館も同様である。
そこで、本報告では、都道府県立の自然史系博物館の中でも古い歴史を持ち、2009年度にボランティア制度を発足させた埼玉県立自然の博物館におけるボランティアの実態と課題を明らかにすることを目的とした。
ボランティアの人数や年齢、居住地、登録年などの基本情報や活動内容、分野、活動実績より、どの分野にも一定数の登録がみられ、幅広い活動に関与していることが明らかになった。しかし一方で、登録人数が伸び悩んでいることや、活動するボランティアが固定化しているなど、課題も多く存在した。
ボランティアとのよりよい関係を築くためには、館としての方針をより具体的に定め、各分野の職員が連携しながら、ボランティア一人一人に合った活動をコーディネートしていくことが重要であると考えられる。