森林と「環境」・「自然」は多くの点で共通部分を持ちながら、我々の周りに存在している。森林はこの2つから多くの物を得、この2つに多くの物を与えている。
いわゆる「環境」と「自然」はどちらも我々の存在基盤として、つい50年程前までは、まだしっかりと機能をしていた。この二つを維持するためには、それぞれの地域で人間による不断の努力が必要であることを人々は認識し、理解し、実行していた。しかし、現代のように効率化、画一化、局所最適化が進んだ社会では、人は都市に住み、便利で快適な暮らしに慣れてしまい、経済性や効率性の追究のみが是であるかのような錯覚に陥っている。自然の法則や人間の限界など、基本中の基本が忘れ去られていると感じているのは私だけであろうか。
次世代を担う若者達が本物を知らないという「環境」と「自然」にとっては致命的な状況に陥っていることに大きな心配がある。若者のみならずその親も実体験の乏しい世代になって来ている。環境教育に力が入れられ、教育の大切さを多くの人が指摘しており、その重要性はますます大きくなる。今回は教育題材について取り上げたい。
(連絡先:中島皇 tnakashi@kais.kyoto-u.ac.jp)