日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T23-07
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観光とレクリエーション
国立公園ブランドを考える―保全とレクリエーションのトレードオフ ―
*久保 雄広庄子 康柘植 隆宏
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抄録

国立公園は生物多様性の保全のみならず、国民に広くレクリエーション機会を提供することが求められている。しかし、過剰利用による植生破壊に代表されるように保全とレクリエーションの両立は困難である。本研究の目的は各国立公園の人気を明らかにすることで今後の利用者の利用動態について予測を試みることである。その上で、各国立公園の人気と現在の利用状況等との関連性を分析することで、今後の保全とレクリエーションの両立のあり方を考察する。調査は全国一般市民を対象に2013年に実施した。国立公園の人気の定量化にはベストワーストスケーリングを適用した。分析の結果、屋久島、知床、西表石垣の人気が相対的に高く、秩父多摩甲斐、磐梯朝日、中部山岳の人気が相対的に低いことが示された。前述の人気が高い国立公園の利用者数は現在相対的に少ないことから、現在は旅費等によって利用が大きく制限されている可能性がある。このことは格安航空会社の就航等によって利便性向上した場合には、利用者数が急増し各国立公園の状況が一変する危険性を示唆している。管理者は各国立公園の位置付けをより明確にし、それに応じた対策を充実させていく必要がある。

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© 2015 日本森林学会
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