既往研究により、森林に降下した放射性セシウムは樹冠に補足され、その後の降雨や落葉等によって徐々に林床に移行することが明らかになっている。しかし、森林内の放射性セシウムの移行が空間線量率に及ぼす影響については十分に解明されていない。そこで本研究では、福島県伊達郡川俣町山木屋地区のスギ林(31年生、15年生)及び広葉樹混交林(ナラガシワ、アカマツ)において、福島第一原子力発電所事故から3年間の林内雨、樹幹流、落葉に伴う林床へのセシウム-137沈着量を観測した。また、各林分における林内空間線量率の時間変化傾向を現地測定によって明らかにした。その結果、林内空間線量率の変化傾向は林分によって異なり、樹冠から林床への放射性セシウムの移行速度や土層・落葉層中の下方浸透を反映して時間・空間的に変化する可能性を示した。