日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T26-02
会議情報

森林生態系の放射性セシウム汚染とその対策
福島原発事故後3年半までの森林における放射性セシウムの分布変化
*今村 直広赤間 亮夫小林 政広大橋 伸太小松 雅史池田 重人齋藤 哲金子 真司高野 勉梶本 卓也高橋 正通
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

森林内部における放射性セシウムの分布状況の変化を明らかにするため,原発事故後の2011年から毎年夏季に,森林内の樹木の葉や幹,落葉層や鉱質土壌などの部位別の放射性セシウム濃度と蓄積量を調査した。調査林分は,福島県川内村,大玉村,只見町の41年生から58年生のスギ林と大玉村の45年生アカマツ林と落葉広葉樹林である。これまでの調査から,上川内のスギ林を除き,放射性セシウムの多くは,2012年までに樹体および落葉層から鉱質土壌へ移動していた。これら調査林分では,2014年の樹体および落葉層の放射性セシウムの濃度と蓄積量は2013年より減少したが,2013年同様,その減少量は少なかった。その結果,2013年に引き続き,樹体と落葉層に蓄積した放射性セシウムの分布割合は減少し,鉱質土壌に蓄積した放射性セシウムの分布割合は増加した。また,これら林分の放射性セシウムの蓄積量の分布は,どの林分も似た割合を示すようになった。一方,これまでの調査で,放射性セシウムの分布割合が他の林分と異なっていた上川内のスギ林では,2014年に樹体の割合が減少し,鉱質土壌の割合が大幅に増加した。今後,他の林分と同じような分布になると推測された。

著者関連情報
© 2015 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top