日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T26-05
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森林生態系の放射性セシウム汚染とその対策
広葉樹林・マツ林・スギ林における放射性セシウムの浸透状況の違いと土壌微生物の役割について
*遠藤 雅貴小林 達明高橋 輝昌
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抄録

森林林床へ降下した放射性Csの鉱質土層への移行状況の違いについて、森林の菌類共生型によって異なるのではないかという仮説をたてて、福島県川俣町山木屋地区の広葉樹林、マツ林、スギ林にて、放射性Csの深度分布調査、土壌の強熱減量測定、微生物の放射性Cs吸収量とバイオマス量の測定を行った。深度分布調査では、衝撃深度はアカマツを主体とした針広混交林で8.1mm、スギ林で12.5mm、対流速度は針広混交林で0.8mm/y、スギ林では1.2mm/yとなりスギ林の方が浸透の速度が早いという結果になった。強熱減量と放射性Csの関係では、広葉樹林においては、有機物含有率と放射性Csは正の相関が有機物層で見られ、鉱質土層では負の相関がみられた。一方、スギ林の有機物層ではそれらの関係は明確でなく、鉱質土層では、有機物含有率と放射性Csに正の相関がみられた。土壌全体の放射性Csのうち微生物の放射性Cs吸収量は0.03~5.83%を占め、特に広葉樹林とマツ林では有機物層に、スギ林では鉱質土層に多く吸収されている傾向がみられた。

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