福島県川俣町山木屋地区の落葉広葉樹林において林床部リター除去等の処理を行い、放射性Csの森林生態系循環と森林外流出に及ぼす影響を2年間モニタリングした。林内雨は処理区の濃度が対照区よりも低く、落葉期に濃度が高くなるカリウムと同様の溶脱傾向を示した。リターフォールは秋季の広葉で処理区の137Cs濃度が対照区の52~66%であった。林床への137Cs供給量のうち97%以上が林内雨とリターフォールによるもので、その濃度が低下したことにより林床処理区の2年目の137Cs供給量は対照区の68~88%に低減した。林床処理後のリターと土砂の流出に伴う放射性Cs流出の増加は1年目で大きく2年目に低下したが、林床に流出防止の植生土嚢を設置していない区では高い水準が続いた。植生土嚢には林床処理後の土壌に残存した137Csのうち1.7~6.8%が吸着されていた。地表流中の137Csのうち溶存態は対照区では2年目に平均1.1Bq/Lであったのに対し、林床処理区では0.4~0.6Bq/Lであった。溶存態Csの濃度は林内雨よりも低いが対照区ではその低減率が小さく、林床リターに残存した放射性Csが影響していると考えられる。