日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T26-15
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森林生態系の放射性セシウム汚染とその対策
林床処理を行った二次林と耕作地の土壌中放射性セシウムの存在形態
*斎藤 翔小林 達明高橋 輝昌山本 理恵平野 尭将
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抄録

福島第一原子力発電所事故により放出された放射性セシウム(以下RCs)の土壌中の形態は生態系内の動きに影響すると考えられるが、森林では研究されていない。そこで2013年8月に福島県川俣町山木屋地区の広葉樹林斜面に対照区、A?層除去区、L層除去区を、そのほか2つの畑地調査区を設け、2014年8月と9月に土壌を採取し、土壌中でのRCsの存在形態を逐次抽出法を用いて調査した。その結果、水溶性のRCsは森林有機物層でわずかにあるものの、いずれの土壌でもほとんど存在しなかった。畑地では、H?O?水処理によって抽出される易分解性有機物結合態やイオン交換態のものが有機物層で13%、鉱質土層表層で7%あったのに対し、森林では有機物層で3%、鉱質土層表層で2%しかなく、植物に吸収されやすい形態のRCsの割合が少なかった。RCsは粘土鉱物に固定されやすい性質を持つが、畑地土壌の粘土割合が5%であるのに対し、森林土壌では47%であり固定態RCsの割合が高いこと、また畑のリターに比べて森林のリターにはリグニン等難分解性有機物成分が多いことなどにより、植物に利用されにくい形態のRCsが森林では多かったと考えられる。

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© 2015 日本森林学会
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