日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T26-16
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森林生態系の放射性セシウム汚染とその対策
コナラとアカマツ樹体内の放射性セシウムの季節変化と林床処理の効果
*平野 尭将小林 達明高橋 輝昌鈴木 弘行恩田 裕一高橋 純子山本 理恵斎藤 翔
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抄録

里山生態系内での放射性セシウム(以下Cs)の動態を明らかにするため、川俣町山木屋地区の農家所有の里山と山木屋小学校の森林において樹体各部位と土壌のCsを調査した。農家所有の里山ではA0層の除去処理を行い、土壌中のCsの低下が里山生態系内にどのような影響を及ぼすのか調べた。コナラ・ミズナラは対照区で幹木部や葉のCs濃度が高かったのに対し、Cs除去処理区ではCs濃度が低いという関係が見られた。また、コナラとミズナラの全調査木の幹木部と樹皮の関係は見られなかったのに対し、幹木部と葉の間には明瞭な正の相関関係が見られた。そのため、Csの吸収は経皮吸収によらず、主に根から吸収され、樹液流によって幹木部から葉に運ばれていると考えられる。一方、アカマツの葉のCs濃度は、コナラやミズナラに比べると低く,幹木部のCs濃度は著しく低かった。コナラの葉は展葉前の葉のCs濃度が最も高い傾向が見られたがアカマツには季節変化は見られなかった。また、コナラでは辺材、心材でCs濃度に大きな差が見られたのに対し、アカマツではCs濃度に大きな差が見られなかった。

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© 2015 日本森林学会
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