日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T26-17
会議情報

森林生態系の放射性セシウム汚染とその対策
林床に敷きならされた木質チップ材による放射性セシウムの吸収特性
*高橋 輝昌小林 達明
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

本研究の目的は、有機物(木質チップ材)に増殖する糸状菌による土壌中のセシウム(Cs)吸収特性を明らかにすることである。試験地は福島県川俣町にあるCsで汚染された斜面上の落葉広葉樹林である。2013年7月に、斜面上部、中部、下部にそれぞれおよそ40 m2の調査区を設け、林床のL層を除去して、スギを粉砕したチップ材を3 kg m-2(斜面上部)~5 kg m-2(斜面中部、下部)敷きならした。チップ材敷きならし後、1~6ヶ月の間隔でチップ材を採取し、篩い分けて、粒径毎にチップ材の量とCs濃度を測定し、Cs吸収量を算出した。Cs濃度は粒径の小さいチップ材で高く、粒径の大きなチップ材でも経時的に増加した。Cs濃度の増加はチップ材全体では敷きならし後5ヶ月間で特に大きかった。チップ材によるCs吸収量は、敷きならし後5ヶ月間までに増加し、その後あまり増えなかった。敷きならし後1年間にチップ材に吸収されたCs量は斜面上部、中部、下部でそれぞれ19、21、15 kBq m-2であり、チップ材敷きならし時にF層や鉱質土壌に含まれていたCs量の4~5 %に相当した。チップ材敷きならし量はCs吸収量にあまり影響しなかった。

著者関連情報
© 2015 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top