日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: F14
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Eucalyptus camaldulensisのアルミニウム無毒化タンニンの特性解析
*田原 恒橋田 光平舘 俊太郎篠原 健司
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抄録

 Eucalyptus camaldulensisは、酸性土壌で問題となるアルミニウム(Al)毒性に強い耐性を示す。演者らは、これまでユーカリの根から新規のAl無毒化物質を分離し、加水分解性タンニンのOenothein B(OB)と同定している。本研究では、OBのAl耐性における役割を明らかにするために、OBの特性を解析した。試験管内でOBと種々の金属との結合を調べたところ、OBはAlおよび鉄と不溶性の複合体を形成した。また、OBとAlは、既知のAl無毒化物質であるクエン酸とシュウ酸が共存した溶液でも複合体を形成した。Al感受性のモデル植物シロイヌナズナを使った生物検定で、加水分解性タンニンであるOBとPentagalloyl glucoseのAl無毒化能を評価したところ、二つの物質は同等のAl無毒化能を示した。一方、加水分解性タンニン自体の植物毒性を調べたところ、OBでは毒性が認められなかったのに対し、Pentagalloyl glucoseはシロイヌナズナの根の伸長を阻害した。E. camaldulensisでは、OBが根に侵入したAlと結合し、Alを無毒化することで、高いAl耐性に寄与していると考えられる。

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© 2015 日本森林学会
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