日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: A2
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学術講演集原稿
トレイルランナーの林地利用をめぐる動向と課題
*平野 悠一郎
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抄録

トレイルランニングは、2000年代以降に日本でも愛好者が急増し、特にアップダウンや景観が楽しめる林地の道(登山道、林道、里道等)を走ることに人気が集まっている。しかし、数百人単位による大会(レース)を軸に普及が進んだこと等から、従来のユーザーであるハイカー等との軋轢が増加し、土壌・植生への影響等も懸念され、最近では環境省「国立公園におけるトレイルランニング大会等の取扱い」(2015年)等を通じて林地利用の規模・要件を制約する動きも生じてきた。この状況へのトレイルランナー側の反応として、まず、全国の大会開催や普及活動を担ってきた有志ランナーによる「日本トレイルランナーズ協会」が設立され、上記の問題に向き合う「窓口」として、林地を走る際のルール作りや社会的地位の確立を組織的に行う動きが見られている。また、自治体・集落との関係構築を通じ、里山整備や古道再生の一環として大会開催や普及活動を位置づけ、山村地域の活性化を積極的に担おうとする有志ランナーの取り組みも確認された。一方、ブームに応じて幅広い愛好者が存在する現状で、どのような発展ヴィジョンを提示・共有していくかが大きな課題となっている。

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