日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: C1
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学術講演集原稿
自己間引き指数は-3/2と-4/3のどちらなのだろうか?
*井上 昭夫
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抄録

 発表者は既報(Inoue & Nishizono, Eur. J. For. Res., 2015)において,過密林分における単位面積あたり樹幹表面積合計は,林分密度によらず一定となることを発見し,これを「樹幹表面積の保存則」と名付けた。この保存則は,樹幹のみの場合と樹幹と枝を合わせた場合のいずれにおいても成立する。いま,体積(あるいは個体重)と表面積とのアロメトリ指数は,樹幹のみの場合において3/2,樹幹と枝を合わせた場合には4/3と仮定する。この仮定は,樹幹に枝を合わせた場合,体積よりも表面積の方が相対的に大きく増えることからの予想である。これらのアロメトリ式と上述の保存則から表面積を消去すると,自己間引き指数は樹幹のみの場合で-3/2(3/2乗則),樹幹と枝を合わせた場合で-4/3(WBE; Enquist et al., Science, 1998)となる。すなわち,体積と表面積とのアロメトリに関する仮定が正しければ,-3/2と-4/3との違いは変数選択の問題に帰着され,どちらの値も自己間引き指数として正しいことが予想できる。この予想は,先行研究の結果からも支持される。

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