日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: P1-206
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学術講演集原稿
環境傾度にそった樹木の水利用特性の変化:東アジアにおけるブナ科の例
*河合 清定岡田 直紀
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抄録

樹木の水利用特性(通水性や耐乾燥性)は個体の生存や成長様式を決定する重要な要素である.しかし,樹木の水利用特性が地理的にどのように変異するかについては知見が不足しており,その生態学的意義は明らかではない.そこで,本研究では北半球で適応放散を遂げ,著しい形質変異を示すブナ科樹木を対象に,東アジアの環境傾度に沿って葉や材の水利用特性がどう変化をするか,を解明することを目的とした. 日本とタイにおいて環境条件の異なる9サイトを選定した.各サイトに生育するブナ科樹種25種225個体を対象に,葉と枝,材を採取し水利用に関わる以下の形質を測定した(葉:葉脈密度,気孔密度,LMA,枝:当年枝のフーバー値,材:材密度,平均透水直径など)その後,環境条件(気温や降水量など)を固定効果,サイトと種をランダム効果とした一般化線形混合モデルを用い,環境傾度に沿った形質の変化を推定した. 結果と考察では「環境条件によって水利用特性がどう変化するか?」「どの環境条件が最も水利用特性の変異を説明するか?」について,葉寿命(常緑・落葉)の違いも考慮に入れて議論する.

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© 2017 日本森林学会
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