主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第128回日本森林学会大会
回次: 128
開催地: 鹿児島県鹿児島市(主に鹿児島大学郡元キャンパス)
開催日: 2017/03/26 - 2017/03/29
福島第一原発事故によって森林に沈着した放射性Csは、そのほとんどが土壌表層に蓄積していることが数多く報告され、長期的な汚染源になることが懸念されている。一方、土壌中の放射性Csの吸着形態は、森林生態系内の循環も含めた動態予測を行ううえで重要であり、土壌への吸着強さ(移動や吸収され難さ)に応じた実態を把握する必要がある。本研究では、放射性Cs沈着量が異なる太田川と宇多川の両上流域の森林で、2014年以降、土壌層位別に試料の採取を行い、137Cs濃度測定と1M NH4NO3と水を用いた抽出実験を行った。各層位の137Cs濃度は、太田川が宇多川よりも1桁高かったが、鉛直分布の傾向は類似し、FH層で最も高かった。堆積有機物層における吸着形態に関しては、L層、FH層ともに太田川試料の水と1M NH4NO3による抽出率が、いずれも宇多川のそれらを大きく上回っていた(1M NH4NO3;太田川21-38%、宇多川5-13%、水;太田川6-20%、宇多川1-4%)。一方、鉱質土壌に関しては、一部宇多川で1M NH4NO3による抽出率が高いケースが見られたが、全般的に両森林に有意差は確認できなかった。