2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故による森林の放射能汚染の将来予測のため、1950〜60年代の大気圏核実験により地表に降下した放射性セシウム(グローバルフォールアウト)の森林土壌中の残存蓄積量を推定した。原発事故前に日本全国316地点の森林で3層(0-5,-15,-30cm)の土壌から採取された試料中のCs-137濃度をNaI(TI)検出器で測定し、容積重データから蓄積量を計算した。2008年10月1日時点の全国の平均蓄積量は1.7±1.4 kBq/m2であった。これは、全国7か所の気象官署等で1970年1月1日までに観測された降下量積算値2.4±0.8 kBq/m2と有意な違いはなかった。また、3層の平均Cs-137蓄積量は0.77, 0.69, 0.29 Bq/m2であり、グローバルフォールアウトは土壌の0-5cm深に全体の44%、それより下の5-30cmに残りの56%が蓄積していた。福島原発事故のCs-137は現在も落葉層から深さ0-5cm程度の土壌最表層に大部分が分布していると報告されているが、今後ゆっくりと土壌中を下方に移動すると予想される。