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第129回日本森林学会大会
セッションID: L5
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学術講演集原稿
天敵微生物製剤バイオリサマダラを事業的に施用した際の防除効果
*佐藤 大樹浦野 忠久前原 紀敏中村 克典
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抄録

天敵微生物製剤バイオリサマダラ(主成分:ボーベリア・バッシアナ)を用いてマツノマダラカミキリの防除を昨年に引き続き行い効果を検証した。激害地,茨城県日立市十王町伊師と微害地東海村豊岡の海岸クロマツ林に天敵微生物製剤区(以下天敵区)、くん蒸、薬液散布の3処理区を設け2016、2017年の11月,針葉変色・樹脂滲出調査により枯損状況を確認した(薬液散布区での駆除は2017年よりくん蒸処理に変更:以下薬液/くん蒸区)。十王の天敵区、くん蒸区での枯損率は薬液/くん蒸区より明らかに低く、2016年から2017年にかけて低下した。東海も同様に低下し,天敵区、くん蒸区での枯損率は低く維持された。薬液/くん蒸区では十王、東海とも2016年に枯損率が増加したが、くん蒸に切り替えた2017年には減少に転じ、その傾向は東海で著しかった。伝染病の広がりやすさを示す指数である伝播係数で比較すると、2016年の微害地の場合を除き,天敵区でくん蒸区より低い数値が得られ、優れた防除効果を示した。連年に渡る現場レベルでの施用試験から、バイオリサマダラの施用でくん蒸処理とほぼ同等の防除効果が得られることが示された。

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