日本森林学会大会発表データベース
第129回日本森林学会大会
セッションID: L14
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学術講演集原稿
PCR-RFLP法によるカシノナガキクイムシの系統識別
*濱口 京子後藤 秀章
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抄録

国内のカシノナガキクイムシは大きく二つの遺伝的系統(日本海型と太平洋型)にわかれ、それぞれはさらに複数のサブ系統に分かれる。これらの系統を識別するには、これまでは分類学者に依頼するか、シーケンサーを用いて塩基配列から検討するしか方法がなかった。そこで本研究ではより簡便なDNA解析による系統識別法を検討した。 まずrDNAの28S領域を対象にPCR-RFLP(制限酵素断片長多型)による識別を試みた。その結果、日本海型と太平洋型の識別およびそれぞれのサブ系統の識別が可能であった。さらにmtDNAのCytb領域を対象に系統特異的プライマーを用いたPCR産物の増幅の有無による識別を試みた。その結果、日本海型と太平洋型の識別および日本海型のサブ系統の識別が可能であった。 本研究で用いたDNA解析法は従来からのものであるが、ここで開発した識別法により、シーケンサーを用いることなく、各系統の分布状況の把握、系統識別にもとづいたモニタリング法や防除法の選定、また別系統が近接する地域ではrDNAとmtDNAの併用で交雑の検証などが可能になると考えられる。

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