日本森林学会大会発表データベース
第129回日本森林学会大会
セッションID: P1-090
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学術講演集原稿
スギ成木の針葉の水ポテンシャルと光合成・蒸散速度の季節変化
*井上 裕太北岡 哲荒木 眞岳釣田 竜也阪田 匡司田中 憲蔵齊藤 哲
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抄録

本研究は、スギの葉のガス交換特性と水ポテンシャルの季節変化を明らかにすることを目的とした。茨城県の39年生スギ人工林において、樹冠上部の葉を対象に、光飽和時の光合成速度(Amax)と蒸散速度(Emax)、夜明け前、日中、原形質分離時の水ポテンシャル(πtlp)、および葉面積当たりの葉重(LMA)を、2017年2月から12月まで毎月測定した(3月を除く)。ガス交換特性に用いた測定枝は2月から6月までは2016年の当年葉を、6月から12月までは2017年の当年葉を対象とした。6月の当年葉のAmaxEmaxは6月の一年葉とほぼ同等の値を示した。その後、Amaxは9月、Emaxは8月まで増加したが、それ以降は12月まで低下し、季節変化が大きかった。当年葉のLMAは6月から12月にかけて増加した。日中の水ポテンシャルはEmaxが最大値を示した8月に最も低い値を示した。耐乾性の指標であるπtlpは当年葉のLMAとの間に有意な負の相関関係が見られ、当年葉の成熟に伴い、耐乾性が高くなることが示された。以上から、スギの葉の水利用は気象条件の変化と葉の成熟に大きく影響されることが示唆された。

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