主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第129回日本森林学会大会
回次: 129
開催地: 高知県高知市(主に高知大学朝倉キャンパス; 3/26は高知県立県民文化ホール)
開催日: 2018/03/26 - 2018/03/29
筆者らは、滋賀県内の森林小流域の水文観測結果をもとに、降雨規模が洪水流出減衰過程に及ぼす影響を検討してきた。その結果、規模の大きな降雨イベントの場合には、洪水流出が流域全体から産み出されて寄与域が固定し、減衰特性が流域固有であること、降雨規模が小さくなると、流出と貯留量の関係は大規模の場合と同じであるが、限定された寄与域からの流出で説明できることが明らかになった(小島・谷、水文・水資源学会誌31(2)、2018)。本研究では、この洪水流出寄与域の流域面積に対する割合(面積寄与率)の拡大過程について検討を加えた。降雨イベント前に流域が湿潤である場合は、累加降雨量の増加とともに面積寄与率が速やかに大きくなり、流出寄与域が流域全体に拡大する様子が確認できた。しかし、流域が乾燥している場合は面積寄与率の増加が緩やかであり、解析した降雨イベントの範囲では寄与域が流域全体には広がることはなかった。このように、流出寄与域の拡大の経過は、降雨イベント以前の流域の乾湿の状況に大きく影響を受けることがわかった。