日本森林学会大会発表データベース
第129回日本森林学会大会
セッションID: P1-170
会議情報

学術講演集原稿
栃木県FM唐沢山の針葉樹流域における列状間伐前後の河川流量の比較
*平岡 真合乃五味 高志Dung Xuan Bui辻村 真貴恩田 裕一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

間伐などの森林管理が直接流出量に与える影響の把握は、森林の水土保全機能の評価において重要である。本研究では、栃木県東京農工大学FM唐沢山のK2(17ha)とK3(9ha)の流域内に、入れ子状に配した流量観測地点における直接流出量を間伐前後で比較した。流域の植生はスギとヒノキを主体とした針葉樹人工林である。K2では2011年7月~12月に材積46%の列状間伐が実施された。間伐前は総雨量50mm以上の場合に、K2とK3の全地点で降水量が増加するほど直接流出量が増加する傾向が見られた。間伐後はK2の全地点で直接流出量が1~8%増加したが、これは間伐前後の降水量の影響との関連が考えられた。そこで、K3を基準流域とした対照流域法による解析を行ったところ、間伐前後の直接流出量の差はばらつきが大きく、K2-2(10ha)のみで統計的な有意差があった。間伐前後の直接流出量の増減について詳細に検討したところ、降水量の差で生じる地点(K2-3とK2-4)と、季節間で生じる地点(K2-1とK2-2)に分かれた。これらは、間伐による上層木の遮断率の減少に加え、林床植生などの地上部バイオマスの変化に伴って地表到達雨量が増減することが影響したために生じたと推察された。

著者関連情報
© 2018 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top