主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第129回日本森林学会大会
回次: 129
開催地: 高知県高知市(主に高知大学朝倉キャンパス; 3/26は高知県立県民文化ホール)
開催日: 2018/03/26 - 2018/03/29
落葉は林床への主要な資源供給源とされている。しかし、リタートラップで収集される内容物には葉以外に花や種子なども含まれ、落葉冷温帯樹林では主要樹種の多くが、開花結実量に大きな変動を示すことが知られている。開花量の変動はリター供給量にどの程度栄養を与えるのだろうか。そこで本研究では、岩手県奥羽山脈に位置するカヌマ沢試験地にて収集された、23年間(1991~2013)のリタートラップのデータを用いて、葉由来および優占樹種の花由来のリターフォールのバイオマス量、炭素量、窒素量をそれぞれ推定し、それらの年変動パターンを比較した。花リターのバイオマスは、ブナが最も大きな年変動を示し、サワグルミがこれに続いた。一方、最も年変動が少なかったのはトチノキであった。花リターは、窒素含有率が葉よりも高く、炭素含有率は葉よりも低かった。林床に供給されるリター由来の炭素量と窒素量の変動は窒素量の方が年変動が激しかった(炭素CV=0.45,窒素CV=1.29)。さらに、各年に林床に供給される全てのリター由来の窒素量に花リターが占める割合は23年間で約1~12%の年変動を示した。