日本森林学会大会発表データベース
第129回日本森林学会大会
セッションID: P1-267
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学術講演集原稿
結実の豊凶は冷温帯落葉樹混交林の年間リター供給量をどう変化させるか
*太田 和秀野口 麻穂子松下 通也八木橋 勉齋藤 智之太田 敬之柴田 銃江星野 大介高橋 和規大住 克博正木 隆鈴木 和次郎佐藤 孝星崎 和彦
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抄録

落葉は林床への主要な資源供給源とされている。しかし、リタートラップで収集される内容物には葉以外に花や種子なども含まれ、落葉冷温帯樹林では主要樹種の多くが、開花結実量に大きな変動を示すことが知られている。開花量の変動はリター供給量にどの程度栄養を与えるのだろうか。そこで本研究では、岩手県奥羽山脈に位置するカヌマ沢試験地にて収集された、23年間(1991~2013)のリタートラップのデータを用いて、葉由来および優占樹種の花由来のリターフォールのバイオマス量、炭素量、窒素量をそれぞれ推定し、それらの年変動パターンを比較した。花リターのバイオマスは、ブナが最も大きな年変動を示し、サワグルミがこれに続いた。一方、最も年変動が少なかったのはトチノキであった。花リターは、窒素含有率が葉よりも高く、炭素含有率は葉よりも低かった。林床に供給されるリター由来の炭素量と窒素量の変動は窒素量の方が年変動が激しかった(炭素CV=0.45,窒素CV=1.29)。さらに、各年に林床に供給される全てのリター由来の窒素量に花リターが占める割合は23年間で約1~12%の年変動を示した。

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