主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第129回日本森林学会大会
回次: 129
開催地: 高知県高知市(主に高知大学朝倉キャンパス; 3/26は高知県立県民文化ホール)
開催日: 2018/03/26 - 2018/03/29
属あるいは種レベルで広域に分布する樹木種において、雑種形成および浸透交雑の影響およびその歴史を詳細に評価することは、進化生物学だけでなく温暖化影響評価など保全生物学、森林管理の面からも非常に重要である(Tsuda et al. 2017)。ただし、そのためには属内で複数種を対象に種内、種間の遺伝構造評価を遺伝様式の異なる複数のゲノムを対象に行う必要がある(Petit and Excoffier 2009)。最近では研究者間の国際化および情報化が進んだこともあり、以前では難しかった大陸レベルなど、より広域を対象にした大規模な研究も実際に可能となってきた。本講演では演者のユーラシア大陸のカバノキ属(Tsuda et al. 2017)、トウヒ属(Tsuda et al. 2016)、南米大陸のナンキョクブナ属(Soliani et al. 2015, Sola et al. 2016)、地中海域のコナラ属(Bagnoli et al. 2016)などの研究事例を中心に、最新のゲノムを対象にした関連研究(e.g. Salojärvi et al. 2017)も紹介しつつ、樹木でわかってきた広域スケールにおける雑種形成および浸透交雑の実態について概観する。