森林総合研究所では、福島第一原発事故後に由来する放射性物質の森林内の分布や動態を明らかにするために、福島県内の森林に試験地を設置してモニタリングを行ってきた。その結果、放射性Csの沈着量が原発からの距離で異なり、森林内の分布が林相で異なることや、時間の経過にともなって放射性Csが樹木や落葉層から土壌へと移動し、多くが土壌表層に留まっていることを明らかにした。 事故から6年が経過して、放射能汚染の状況が変化し避難指示区域が見直され、森林・林業の復興も進んできた。そこで2017年度から調査を高汚染側にシフトすることになり、試験地の見直しを行い、低汚染地の調査を中止し、高汚染地に新たに試験区を設けた。調査方法に関しても、これまで伐採して樹木の試料を採取してきたが、成長錐で材試料を採取する方法に変更し、材濃度が低いなどを除いて樹木の伐採は行わないことにした。この変更によって、今後は同一木における継続調査が可能となる見込みである。 本発表では、調査地や調査内容の変更方法を紹介するとともに、今年度の調査結果を紹介する。