主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第129回日本森林学会大会
回次: 129
開催地: 高知県高知市(主に高知大学朝倉キャンパス; 3/26は高知県立県民文化ホール)
開催日: 2018/03/26 - 2018/03/29
森林におけるシカの被害は、林業への直接的な被害だけでなく森林生態系にも深刻な影響を及ぼしている。このようなシカによる被害を軽減するためには捕獲による個体数低減が有効と考えられるため、捕獲実施による低減効果の評価方法を確立する必要がある。そこで、本研究ではカメラトラップを用いて、捕獲前後における撮影回数の変化から捕獲実施効果を評価する方法を検証した。調査は、静岡県伊豆半島中央部に位置する伊豆森林管理署管轄の国有林内において行った。調査期間は2014年6月から2015年12月であった。国有林内の約16平方kmの範囲を調査区とし、500mメッシュに1~2台を目安に自動撮影カメラを78台設置し、シカの撮影回数を調査した。調査区内の約4平方kmを捕獲区とし、2015年7~8月に捕獲区内のみでシカを31頭捕獲した。シカの撮影頻度はカメラ設置位置および季節によって異なったが、捕獲区内に設置したカメラの平均撮影回数は捕獲実施後に急激に低下し、調査期間終了時まで低いレベルで維持された。また、捕獲区における撮影回数が調査区全体に占める割合は、捕獲実施後に約10%に低下した。以上のことから、カメラトラップによる効果検証は有効と考えられた。