日本森林学会大会発表データベース
第129回日本森林学会大会
セッションID: T5-3
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学術講演集原稿
可視-近赤外分光反射率を用いると樹木細根はどのように評価できるのか?
*谷川 夏子中路 達郎矢原 ひかり牧田 直樹
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抄録

多くの植物図鑑では、植物の種ごとに葉や樹皮の色や形態の特徴が整理され、種の識別法も確立されている。一方、植物根に関してこれらの情報の整理はほとんど行われておらず、種識別法の確立にも至っていない。本研究では、一般に色素や有機物などの化学組成や細胞の発達段階を反映する可視-近赤外波長の連続分光反射率が、樹木細根の形態や解剖・化学特性とどのような関係性をもつのか調査した。針葉樹5種と広葉樹7種の計12樹種の細根系を採取し、427~978nmの連続分光反射率画像を撮影した。根特性として形態(比根長、根組織密度、分岐頻度)、解剖(総中心柱、総皮層、総中心柱/総皮層体積比)、化学特性(N、K、Ca濃度)の9項目を測定し、分光反射率との関係を解析した。根系の連続分光反射率は、全樹種で約920nmでピークとなる山形の放物線を示し、その反射率には明確な種間差が認められた。根特性のうち5項目(比根長、根組織密度、分岐頻度、総中心柱/総皮層体積比、Ca濃度)はある特定波長の分光反射率と有意な相関を示し、その波長は項目ごとに異なった。従って、可視-近赤外域の分光反射率は、根特性の推定や樹種特異性の評価に活用できることを示唆している。

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