日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: A18
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学術講演集原稿
林産品と地理的表示の保護制度:国際情勢と岩手県の切炭を事例として
*香坂 玲梶間 周一郎内山 愉太
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抄録

2018年に岩手木炭が国内初の林産品として、地理的表示保護制度に登録されている。地理的表示保護の制度は2015年に農林水産物等で制度化された。本報告では、まず地理的表示保護制度がいかなる制度か概観を紹介する。次に岩手木炭が申請に至った背景ならびに過程を検証することで、農産品とは異なる林産品特に木材の地理的表示活用の可能性と今後の展望を議論する。岩手木炭においては、申請の動機、申請過程、申請段階での困難、産品の品質規準などの項目をインタビュー等で明らかにし、分析した。結果、申請主体と生産者の間の合意形成が円滑に進んだこと、生産のマニュアル化などを通じた統一された品質管理が以前より継続的となったことが判明した。今後は、既存の制度との比較をどのようにおこなうべきか、地理的表示の制度において品質や産地の表示に公的機関・国が関与すべきか等が論点となる。特に2019年2月以降の日欧経済連携協定(EPA)の発効後は、EUと日本の地理的表示は相互保護制度として、相手国の登録産品を保護する義務が生じる見通しである。今後のEUへの木材輸出などの議論をする上でも、林産品と地理的表示保護制度の活用のあり方を検討する必要がある。

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