日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: A3
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学術講演集原稿
日本の木材チップ取引における組織間関係
*早舩 真智
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抄録

本研究は、1950年代以降の国産木材チップ取引における組織間関係の歴史的動態を明らかにすることを目的とした。分析視角としては、組織間関係論における資源依存と取引費用の概念を用いて、チャネル・パワー論の取引依存度の観点を援用し、木材チップ取引の特殊性(供給先の代替不可能性)と模倣困難性(供給元の代替不可能性)という二つの要素から、木材チップ取引における交渉力とチャネル統制の変容を分析した。研究手法としては、既往文献・統計資料分析及び、聞き取り調査(紙・パルプ企業、チップ供給業者、業界団体等、バイオマス発電企業)を行った。その結果、輸入チップ導入による供給元の多角化と紙・パルプ企業の合併による供給先の減少に伴って、紙・パルプ企業の交渉力優位が歴史的に固定化していったことが明らかになった。しかし、近年のバイオマス発電所の増加による供給先の増加から、既存の流通形態の影響を受けながらも、チップ製造業者が取引における交渉力を向上させつつある可能性が示唆された。

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© 2019 日本森林学会
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