主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第131回日本森林学会大会
回次: 131
開催地: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟・豊田講堂
開催日: 2020/03/27 - 2020/03/30
2015年5月に北海道富良野で育苗したトドマツ、アカエゾマツ、エゾマツの3年生苗を自生地である富良野、やや温暖な秩父、温暖な千葉に移植し、2017年8月に生残と成長を調べた研究により、トドマツが温暖地でも生育可能だったのに対し、エゾマツが最も温暖化ストレスを受けていた。本研究では温暖条件下でこれら個体がどのようなストレス応答関連遺伝子を発現しており、樹種によって発現パターンが異なるかを調べた。2017年8月に富良野と千葉で3種から1個体ずつ選び、葉からRNAを抽出しRNA-seqを行った。リードをDe novo assemblyした後、リファレンスを作成してマッピングした。マッピングされたリード数に基づき遺伝子発現パターンを比較した結果、植栽地よりも樹種によってクラスタリングされた。最も生存率、成長量が低かったエゾマツについて千葉と富良野で遺伝子発現量を比較したところ、有意に発現量が異なる752遺伝子が認められた。シロイヌナズナとの相同性検索を行った結果、水ストレスや菌抵抗性に関連する機能をもつ遺伝子が推定され、自生地と移植地の気温の差だけでなく他の環境の違いによる影響も示唆された。