日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: P1-008
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学術講演集原稿
『岩手県管轄地誌』にみられる明治期の林産物
*泉 桂子
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キーワード: 林産物, 明治期, 岩手県
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抄録

『岩手県管轄地誌』を用いて1878年前後の岩手県内における林産物の生産状況を明らかにした。『管轄地誌』は岩手県が明治政府の指示に応じて著した村誌で、県内641村の人口・農地・地租・物産などが記録されている。物産の項には産物が列記され、林産物と見られるものは鳥獣13種、山菜11種、きのこ13種、樹実13種、薬用植物4種、樹脂2種、樹皮1種、素材・製材品22種、農業資材5種、燃料3種、木材の二次加工品14種が見られた(種類には総称を含む)。多くの村で生産された林産物は栗の実(153か村)、薪(92か村)、木炭(78か村)、楢の実(68か村)であった。これら林産物の郡別生産状況を見ると、薪と木炭は三陸沿岸南部と内陸南部で生産している村が多かった。薪については 気仙郡で全村数中70%の村が生産しており、同様に江刺郡33%、閉伊郡21%であった。これら3郡は木炭でも同様の傾向を示した。栗の実は三陸沿岸南部と内陸中央部で生産している村が多く見られた。人口が多く、一村あたり田面積の広い内陸南部の郡では栗の実の生産は少なかった。楢の実は三陸沿岸北部の気仙郡・閉伊郡で生産している村が多かった。

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