日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: P1-102
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学術講演集原稿
遺伝的適地適木を目指した宮城県産スギ精英樹と在来系統の地域性評価
*小沼 拓矢内山 憲太郎河部 恭子陶山 佳久
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キーワード: MIG-seq, 精英樹, 林木育種
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抄録

 我が国の重要な林業樹種であるスギでは、主に4つの天然林地域系統の存在が明らかになっている。そこで、これら天然林地域系統と、各地で選抜された精英樹や各地で古くに植林された個体との関係を明らかにすることで、これらの遺伝資源としての地域性評価情報を得ようと考えた。

 本研究では、全国の天然スギ20集団151個体を比較対象として、1)宮城県林業技術総合センターの宮城県産スギ精英樹クローン36個体と、2)宮城県南三陸町の古い植栽社寺林や造林地7集団51個体をそれぞれ集団遺伝学的に解析し、地域系統を判定した。分析方法には、次世代シーケンサーを用いたゲノム縮約解析であるMIG-seq法を用いた。

1)で得られた993のSNPsを用いた解析では、宮城県産スギ精英樹中に太平洋側と日本海側系統が混在している可能性が示唆された。2)で得られた2763のSNPsを用いた解析では、南三陸の集団は既知の太平洋側系統に位置付けられるが、他の太平洋側天然林とは区別できる独自の地域在来系統である可能性が示された。

 このような解析方法とその情報は、スギだけでなく他の造林樹種においても、言わば「遺伝的適地適木」を実現するために活用できると考えられる。

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