日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: P1-232
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学術講演集原稿
温暖多雪域の冷温帯落葉広葉樹林小流域における溶存イオン収支
*瀧澤 英紀小坂 泉
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抄録

 温暖多雪域の冷温帯落葉広葉樹林流域からの溶存物質の流出は,川や海への物質供給として重要である。日本大学みなかみ演習林は利根川源流部に位置し、例年2mを超える積雪がある。本研究では隣接する大小2流域において、2018年12月から2019年11月までの1年間の水収支および溶存イオン収支を測定した。結果として、年降水量は2000mm弱であり、積雪期間の12/15~4/16では降水量613mmだった。三つ又沢流域における流出は1250mm程度で、降水に対する流出割合は0.6程度であった。物質量として溶存イオンの流出割合はCl、NO3、SO42-、K+などでは1.1~1.4程度と降水により供給されたイオンの流出形態は異なるものの年間量では同程度流出していた。また、降水による供給の季節的な変化もそれぞれのイオンで異なっていた。Na+、Ca2+、Mg2+などでは、降水に対する流出割合は4~7程度と土壌および山体内部からの供給が卓越していた。季節的な各溶存イオンの濃度変動も同期しており、流出形態が類似していた。これらは地質的な特性としてケイ酸塩鉱物の化学風化により流出していたと考えられた。積雪・融雪期と着葉期などの季節的な変化や2流域の流出の特徴について報告する。

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