日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: A9
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学術講演集原稿
2017年7月九州北部豪雨後の被災地住民による流木活用の取組
*知念 良之平山 竜彬佐藤 宣子
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抄録

近年,新たな価値観やライフスタイルを求めて,農山村へ移住する動きがある。2017年7月の九州北部豪雨で「過去最大級の流木被害」が発生した際に,Iターン移住者が自らも被災者でありながら,ボランティアとして流木の再資源化に取り組む事例がみられた。現在,自然災害時の農山村におけるIターン移住者が果たす役割については明らかになっていない。そこで,本研究では,被災前に福岡県朝倉市高木に移住した2名に対面調査を実施した。調査の結果,①阪神大震災等でボランティア活動に携わった経験によって,その後の人生観や価値観が変化したこと,②農山村はボランティアやソーシャルビジネスの展開に必要な知識と経験を生活しながら習得可能な場所だと認識していること,③技術は集落内外の「人のつながり」で習得していること,④被災後は自身の知識や経験,「人のつながり」,SNSを活用して復興支援に取り組んだこと,⑤産業廃棄物扱いで流木が処理されるのは「もったいない」と感じてウッドキャンドルや薪販売による収益化を通じて復興支援を模索したこと,が明らかになった。Iターン移住者の知識や経験,ネットワークが復興に寄与したことが示唆された。

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