主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第132回日本森林学会大会
回次: 132
開催地: 東京農工大学によるオンライン開催
開催日: 2021/03/19 - 2021/03/23
我が国の普通教育において,木材の性質や加工,利用および木材と環境との関わりを系統的に学習するのは,中学校技術・家庭科 技術分野(以下,技術科とする)のみである。これまで,著者らは中学生や技術科教員養成学科所属の大学生等を対象に,木材加工に関する授業,特に樹種による材質の多様性に関する実践・教材の開発を進めてきた。本研究では,異なる樹種を実際に加工することを通じて,生徒が材質や質感等の違いをどのように感じるのかを明らかにするために,4樹種を側板とした枡を題材とする授業実践を行った。題材に用いた樹種は,スギ,ヒノキ,ホオノキ,ブナとし,対象は千葉県内の国立中学校2学年とした。題材の製作すなわち4樹種の加工を通じて,生徒はスギが柔らかくブナが硬いなど物性値をある程度正確に捉えている傾向が見られた。また,SD法により抽出された因子および自由記述の対応分析により抽出された因子は,硬さや色の物性の文献値との間に高い相関関係が認められた。このことは,実際の加工が,生徒に樹種間の材質の違いを印象付けるのに有効であることを示す。