日本森林学会大会発表データベース
第132回日本森林学会大会
セッションID: P-140
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学術講演集原稿
ライム病の原因菌と媒介者であるシュルツェマダニの遺伝的分化の解明
*塚本 宝平尾 聡秀
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抄録

マダニは様々な人獣共通感染症を媒介することが知られている。その中でもライム病は、欧米で近年増加傾向にあり、重要な社会問題となっている。一方、日本では症例数こそ少ないものの、宿主であるシカなどの大型哺乳類の密度増加や生息域の拡大が報告されており、潜在的な感染リスクが高まっている可能性がある。そこで本研究では、シュルツェマダニ(以下、マダニ)の生息域拡大の遺伝的シグナルを検出するため、マダニがライム病の原因菌(以下、ボレリア菌)を保持する割合を調べるとともに、両者の遺伝的分化の解明に取り組んだ。

2020年6月~9月に関東・中部地方の5地点において、旗振り法でマダニのサンプリングを実施した。サンプリングしたマダニの16S rRNAとCOI遺伝子の塩基配列を取得し、ハプロタイプネットワークを構築した結果、6種類のハプロタイプが確認されたが、地域間での遺伝的分化は見られなかった。また、ボレリア菌の23S rRNA遺伝子をqPCRで増幅させ、マダニがボレリア菌を保持しているかを判定し、8つのハウスキーピング遺伝子を対象に多座配列解析を行った。本発表では、ボレリア菌の遺伝構造についても報告する。

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