日本森林学会大会発表データベース
第132回日本森林学会大会
セッションID: P-338
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学術講演集原稿
東京都の都市緑地で発生しているナラ枯れの空間的分布
*加藤 優奈吉田 智弘
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抄録

 関東地方でもナラ枯れが発生し、2019年には初めて東京での被害が確認されている。しかし、都市部の分断化された緑地帯でのナラ枯れの研究事例は少なく、都市緑地でのナラ枯れは人的被害を伴うと予想され、迅速な対応が求められる。そこで、本研究では東京都内の都市緑地でコナラの毎木調査を行うことで、ナラ枯れ初期被害の空間分布を把握し、都市部でのナラ枯れの特徴を明らかにすることを目的とした。

 2020年の8月から12月に、東京都八王子市・府中市・三鷹市の7地点の緑地帯で調査を行った。コナラ個体の位置をGPS受信機で測位し、樹木位置図をQGISにて作成した。また、各コナラ個体の胸高直径、カシナガ被害度(フラスや穿孔の数)、ナラ枯れ被害度(萎凋症状の有無)を記録した。

 7調査地点で合計6165本のコナラを調査した結果、各調査地点では約3割~6割のコナラ個体がカシナガの被害を受けていた。どの調査地点でも、大径木ほどカシナガの被害を受けている個体の割合が高かった。また、林縁部の他に、歩道や展望台、草地の近くなど明るく開けた場所に位置するコナラ個体でナラ枯れ被害が集中して発生していることが示唆された。

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