日本森林学会大会発表データベース
第132回日本森林学会大会
セッションID: P-340
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学術講演集原稿
埋立造成緑地に大量蓄積したハナムグリ亜科幼虫糞層の分解と土壌への影響
*前田 健蔵戸田 浩人崔 東壽
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抄録

東京港野鳥公園ではリュウキュウツヤハナムグリ等のハナムグリ亜科が大発生し、保護区樹林地林床の大部分に厚さ数cmの幼虫のフンが堆積し層を成している。この特殊な土壌環境下における養分動態を調査した。フンを構成するC,N,Mg濃度はそれぞれ172,13,6.8mg/gでリターと土壌の中間であり,Si,K,Na濃度は327,2.1,1.3 mg/gで土壌に近く,CaとP濃度は14.6,1.5mg/gでリターと土壌よりも高濃度であった。リターバッグ法を用いフンとリターの分解速度を比較した。リターは10か月間で約40%の重量減少を示したが、フンはほとんど変化しなかった。フンのNa,Mgはそれぞれ24%,13%重量が減少し、Ca,K重量はほとんど変化せず,C,N,Pは14~17%重量が増加した。フンに採取林内雨を滴下する室内実験を行い,フン層からの年間溶脱量を測定した。Ca,硝酸態N,K,Mg、Naの年間溶脱量はそれぞれ1.54,0.60,0.46,0.16,0.11mg/gであった。フン内には腐葉土と表層土壌の養分が長期間固定化され、フン内の無機態養分が年間2~22%ずつ溶脱していると推定された。

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