日本森林学会大会発表データベース
第133回日本森林学会大会
セッションID: K3
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学術講演集原稿
NFCタグによる立木カタログ化で里山広葉樹材の活用を展開する
*黒田 慶子早川 慶朗山崎 正夫松岡 達郎東 若菜谷内 廉
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抄録

日本では広葉樹材の大半を輸入に頼ってきたが、価格高騰や流通の減少により、家具製造や住宅関連企業では国内での調達を進めている。従来の調達地は北海道や本州の山地で自然に近い林が多かったが、農村集落付近の里山二次林(旧薪炭林・農用林)でも、ナラ類やケヤキ、ヤマザクラ、カエデ類などの有用広葉樹が大径化し、木材として十分利用できる。ナラ枯れの被害拡大や森林荒廃を止めるためにも、里山資源の積極的利用と次世代林育成を急ぐ必要があるが、里山整備という事業では木材利用の視点が無く、流通させる方法が無かった。そこで、林内の立木に耐候性の電子タグ(NFC)をつけ、樹種、直径、通直部などのデータをスマートフォンアプリで記録し、立木のデジタルカタログ化を進めた。データは送信可能な場所からサーバに記録する。伐採時には樹幹基部にタグを残し、次世代の萌芽育成に利用する。玉切り段階で丸太にタグを追加し、製材過程でタグの追加またはQRコードに交換しつつ、トレーサビリティを保障する。2021年には北海道や兵庫県内で実証実験を行い、タグ付け、伐採、製材、販売へと一通りの作業を行って、里山材の流通に有用であることを確認した。

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© 2022 日本森林学会
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