日本森林学会大会発表データベース
第133回日本森林学会大会
セッションID: P-312
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学術講演集原稿
全国のダム貯水池における近年の流出流木量傾向の把握
*宮﨑 仁五味 高志
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抄録

近年の豪雨によるダム貯水池における流出流木量の傾向把握を目的とし、全国125箇所のダム貯水池での経年的な流出流木量評価を行った。対象流域の計測年数は6-55年、流域面積は7-2420km2、森林率57-100%であった。平成29年7月九州北部豪雨の影響を受けた寺内ダム(流域面積:51km2、森林率:88%)では、2017年までの流出流木量は108m3/年、2017年では5994m3、以降3年間は597m3/年となり、豪雨後の流出流木量の増加を確認した。令和元年東日本台風の影響を受けた浦山ダム(流域面積:52km2、森林率96%)では、2019年までの流出流木量は55m3/年、2019年では387m3、2020年は22m3となり、豪雨災害発生年での流出流木量の増加を確認したが、それ以前の2011年にも377m3の流出があり、流木流出の経年的な増減が見られた。流域面積101-102km2を抽出し、5年ごとの傾向を見ると、西日本の2001-2005年は1-420m3(N=16、中央値136m3)、東日本では5-294m3(N=7、中央値69m3)となった。2016-2020年では、西日本が4-1563m3(N=19、中央値92m3)、東日本が2-108m3(N=10、中央値35m3)となった。西日本では最大値が増加する傾向がみられ、近年の豪雨に対応した流出流木量の増加が考えられた。

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