主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第133回日本森林学会大会
回次: 133
開催地: 山形大学によるオンライン開催
開催日: 2022/03/27 - 2022/03/29
本研究は、近年の流入流木量増加とその要因の考察を目的として、九州北部筑後川水系佐田川上流の寺内ダム集水域(51km2:スギ林57%、ヒノキ林33%、その他9 %)を対象とした。1997~2016年まで平均189m3/年のダムへの流入流木量があり、平成29年九州北部豪雨時に最大8563m3/年、それ以降は584~1074m3/年の流入流木量が確認された。平成29年豪雨時の斜面崩壊発生状況をLiDARデータから把握し、3119箇所、崩壊発生面積率1.4%を確認した。森林別ではスギ人工林1750箇所(面積率1.4%)、ヒノキ人工林1010箇所(面積率:1.6%)、その他316箇所(面積率2.0%)であった。崩壊による発生流木量評価を森林簿と地上レーザー計測による林分現地調査から実施し、発生流木量が33294m3と推定された。現地にて堰堤での流木の捕捉を確認したことから、堰堤のある流域の流木流出率を50%と仮定すると、発生流木量のうち流出する流木量は、19711m3と推定され、流出流木の43%がダムで捕捉されていることが予想された。ただし、今後、堰堤のない山地流域の流出流木流出量の評価を行うことで、ダム貯水池の流木生産→上流からの流出→ダムへの流出の検討につなげることができると考えている。